ぼくの命は言葉とともにある

 9歳で失明。18歳で聴力も失ったぼくが東大教授となり、考えてきたこと。
 

紹介文

 福島さんは3歳で右目を、9歳で左目を失明。18歳で失聴し、全盲ろうとなります。1983年東京都立大学(現・首都大学東京)に合格し、盲ろう者として初の大学進学。金沢大学助教授などを経て、2008年より東京大学教授。盲ろう者として常勤の大学教員になったのは世界初です。
 この本は少し難しいところもあります。でも、難しいところを飛ばしても、読む価値があると思います。「私たちはどう生きるべきか。」を考えさせられる一冊です。とくに第5章の「生い立ち」になると読みやすいです。この章だけでも参考になります。
 目が見えず、耳が聞こえなくなった人の多くは、絶望して、一度ならず自殺を考えるケースが少なくありません。でも、福島さんはずっと生きる意味を探し続けていました。「どうして自分はこんな苦悩を経験しなければならないのか。」と自問して、その結果、「理由はわからないけれど、この苦悩には何か意味があるんだ。」「これは自分の将来を光らせるために必要なものなんだ。」と考えることにしようと決めたそうです。 
 また、ある出来事によって次のようなことも感じたそうです。
与えられている命を投げ出すことは、生きたくても生きられなかった人たちへの冒涜(ぼうとく)である。
 
  この本のプロローグに次のような言葉があります。

 美しい言葉に出会ったことがある。
 全盲ろうの状態になって失意のうちに
 学友たちのもとに戻ったとき、1人の友人が
 私の手のひらに指先で書いてくれた。
 「しさくは きみの ために ある
 私が直面した過酷な運命を目の当たりにして、
 私に残されたもの、そして新たな意味を帯びて
 立ち現れたもの、すなわち「言葉と思索」の世界を、
 彼はさりげなく示してくれたのだった。

  ぜひとも読んでみてください。 

詳細

  • 生徒★★★ 保護者★★★
  • ぼくの命は言葉とともにある
  • 福島 智
  • 致知出版社 ¥1600+税

 

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