」夜と霧

紹介文  

  少し難しいかもわかりませんが、生徒の皆さんには若いうちに必ず読んでほしい1冊です。

   第二次世界大戦中ヨーロッパでドイツ軍のアウシュビッツ収容所でたくさんのユダヤ人が殺害されたり、亡くなりました。
 この「夜と霧」の著者は、強制収容所から奇跡的な生還を果たしたユダヤ人のヴィクトール・フランクルです。精神科医だったフランクルは、冷静な視点で収容所での出来事を記録するとともに、過酷な環境の中、囚人たちが何に絶望したか、何に希望を見い出したかを克明に記しました。

 その収容所で終戦まで生き残っていた人は、体が頑丈な人や体力がある人ではありませんでした。
「未来に希望を満ち続けていた人」こそ生き残ったのです。作者は収容所という絶望的な環境の中で希望を失わなかった人たちの姿から、人間の“生きる意味”とは何なのかを探ります。そして苦境に陥った時の“希望”の持ち方について考えていきます。

「夜と霧」は戦後まもなく出版され、世界的なベストセラーとなります。アメリカでは、「私の人生に最も影響を与えた本」でベスト10入りした唯一の精神医学関係の書となっています。
 日本では毎年、年間3万人の自殺者がいる状況の中、この本は重いテーマにもかかわらず、これまでに累計100万部が発行されました。2002年には新訳本も刊行され、その人気は衰えていません。

  戦後、フランクルは「人生はどんな状況でも意味がある」と説き、生きがいを見つけられずに悩む人たちにメッセージを発し続けました。彼が残した言葉は、先が見えない不安の中に生きる今の私たちにとって、良き指針となるはずです。
 

  • 生徒★★★★  保護者★★★
  • 夜と霧
  • ヴィクトール・E・フランクル
  • みすず書房   ¥1620

 

校内連絡