志賀内泰弘さんの「ギブ&ギブメルマガ」から紹介します。
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一般社団法人「言の葉協会」では、全国の小・中学校、高等学校から
毎年のテーマに合わせた大切な人への思いや強く感じた気持ちを
自分の言葉で綴る作品を募集し、その優秀作品を「言の葉大賞」として顕彰しています。

第10回の募集テーマは、「『失敗から』学んだこと」。
その入選作品から紹介させていただきます。
  
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 「失敗と尊敬」 大阪府吹田市中学校 2年女子

自転車で二十分ほど移動したところには本屋がある。
私は本屋に行くことが趣味だ。
少なくとも月に一回、多いときは毎週通って本を読む。

その本屋で、ある失敗をしたことがある。

そのときも、いつもと同じように本屋に行き、自転車置き場に自転車を停めようとした。
だが、その日は風が強く、何台かの自転車が倒れてしまっていた。

私は、その自転車たちを見て見ぬふりをした。
きっとまた風で倒れてしまうだろう。
そう言い訳をして、直そうともしなかった。

本屋から帰るときには、持ち主が帰ったのか、誰か気付いた人が直してくれたのか、
倒れた自転車はなく、少しだけもやもやしながら家に帰った。

別の日、母と一緒にショッピングモールに出かけた。
雨が降っていたので傘を差して行ったのだが、
もちろん建物の中なので、入口の傘袋にしまうことになる。

袋が置いてあるということは、当然となりにゴミ箱が設置してあるのだが、
雨の中混み合うショッピングモールのゴミ箱は、袋であふれかえっていた。
私は何も考えず、袋をそのまま捨てた。

しかし、母は違った。
ゴミ箱の中へ袋を押しこみ、落ちていた袋も拾い、綺麗に整理したのだ。

それを見た私は、倒れた自転車を無視した自分が恥ずかしくなった。

とても後悔した。
同時に、誰も見ていなくても周りのことを考えて動くことができる母を心から尊敬した。

人に親切にするのは、直接的なことだけではないように思う。
困っている人に声をかけることや、悩んでいる人を助けることもすごく大切だ。

けれど、母のように、その場にいない、知らない誰かのために
行動を起こせるような人はとても素敵だと思った。
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こうやって自分で感じた人は
知らない誰かのためにも行動が起こせるようになるんですね。
素晴らしいことです。

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