「成功」より「挑戦」にこそ価値がある  
  『悩んでいた母親が一瞬で救われた子育ての話』平光雄著より紹介します。
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 「うちの子には勇気が足りない」「新しいことにちっともチャレンジしない」「慣れていないことはしり込みして、やらない。歯がゆい」というように、子どもの「消極性」を嘆く親はとても多くいます。その大半は、先に述べた、その子の「内向型」という性分に由来するものなのですが、親に改善の余地がある場合も多いのです。 

 もう古い話題ですが、走り高跳びで初めて背面跳びを見た時の衝撃は忘れません。何と恐ろしい、そしてなんと合理的な飛び方かと。最初に挑戦した人の勇気はすごい‥‥には違いないのですが、これとて、昔のように着地点が砂場であったら、危険すぎて誰もやっていないでしょう。
 安全性の優れたセーフティマットが開発されてこそ生まれた技ですね。どんなにひどい体勢で落ちても大丈夫、という性能のいいセーフティマットが向こうに待ち構えていてくれるからこそ、冒険心も沸いたのです。

 「歯がゆい」と嘆く親に問います。
 あなたの子どもの冒険の向こう側は、「砂地」かコンクリートなのではないでしょうか。
 「失敗してもいいから挑戦しなさい」と言いながら、成功だけを期待していないでしょうか。失敗したら叱責はしないまでも、ひどく落胆、不機嫌にならないでしょうか。それは形を変えた叱責に等しいのです。
 それでは、安心して挑戦などできないし、しなくても当然です。「その後」が大変なのだから。内向型の子ならなおさらです。
 
 頑張って挑戦して失敗した子には、無条件に「挑戦自体」を、「勇気を出したこと自体」を、賞賛してやり、そこで断固とどめることですね。
 そんな「どんな体勢で落ちても怪我はしない」という保証のあるセーフティマットに親はなるべきではないでしょうか。勇気のある子はそうして育てていくものです。
 歯がゆいという前に、自分が「砂地」かコンクリートではないか自己点検してみるのがいいでしょう。
 「首を折る危険に飛び込めないのは勇気がない」というのは暴論ですよね。
 子どもに勇気を出させるには、それなりの段階が必要です。まずは、結果ではなく、挑戦したこと自体を激賞することです。
 そうして、向こう側に「セーフティマット」を整えていくのです。その「手間」抜きに「勇気のある子」には成長していきません。

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