志賀内泰弘さんのメルマガ『ギブ&ギブメルマガ 』から紹介します。
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 ちょっといい話『あなたも病気になりなさい』

別に悪意があってのことではありません。
「あなたも病気になりなさい」
こんなタイトルの本の企画を出版社の編集者に見せたら、
「それは売れない」、「誰も書店で手に取らない」と一蹴されてしまいました。

そんな話を、何人かの友人・知人にしたら、全員が、「わかるかわる」と言ってくれました。
その内の一人が言いました。
「内容が手に取るようにわかるよ。君は、別に読者が病気になって不幸になればいいと思っているわけじゃないんだろ。
病気になると、たくさん気付くことがある。健康だと気付かないことにね。
大切なことに気付くために、一度病気になってみたらわかるということが言いたいんだよね」
と言われ、ホッとしました。
その友人は、若い頃に大きな病気にかかり、ベッドで何日も動けない生活をしたことがあるというのです。
初めて聞き、驚きました。
私も20年以上前に、生死をさまよう大病をしたことがあります。
その後、お互いの入院経験や人生について、楽しく!話が盛り上がりました。

タレントのピーコさんは、左目に義眼をはめています。
テレビで見た時、「おや?」と違和感を感じていましたが、その後、メラノーマ(悪性黒色腫)というがんを患い、摘出手術をたしことを知りました。
片方の目が見えなくなって辛い時、一卵性双生児のおすぎさんや、黒柳徹子さん、永六輔さん、淀川長治さんら友達が支えてくれたそうです。
それまで、ピーコさんは自分一人の力だけで生きていると思っていた。人の悪口を言う嫌な奴だった。
でも、大勢の人に支えられていたんだと、病気になって初めて気付いたというのです。
その後、東日本大震災の被災地でボランティアで歌ったり講演をしたり。病気を経験したからこそ、できたことだと言います。

驚きました。私も同じだったからです。
病気をする前、エゴのかたまりでした。
人を押しのけてでも、上に登りたいと思っていました。
ホント嫌な奴です。どんな生き方をすべきか。
辛い時、どうしたらいいのか。
困っている人に、どう話し掛けたらいいのか。
その答を本や講演で学ぶことはできます。親や友達に尋ねることもできます。
でも、自らの体験に勝るものはありません。
人にとっての一番の苦しみ。
それは、病気です。
病気になんて、ならない方がいいに決まっています。
でも、病気は悪いことばかりではありません。
気付きと、学びの宝庫です。

ある友人に言われました。「タイトルがショッキング過ぎるんだよ。もう少し柔らかくしたらどう?
例えば『病気になって気付くこと』とか『病気は人を幸せにする力がある』とか・・・」

このメルマガの読者の中にも、ひょっとすると、「辛かったけど、いや今も辛いけど、病気になって良かった」と思っておられる方がいるかもしれません。
反対に、今、病気になったことで悩んでいる人がいるとすると、「無茶苦茶言うな!」と叱られるかもしれません。
もちろん、健康であることを否定しているわけではありません。
なぜなら、病気になって一番大きな「気付き」は「健康であることの有難さ」だったから。

ピーコさんは、こうも言います。
「道端の小さな花に気付いたり、暑くて大嫌いだった夏の風を心地よく感じたり。
空もよく見上げるようになり、片目を失って見えてきたものがあった」と。
健康が一番。でも、健康じゃなくなって、
その代わりに手の中に満たされるものがあります。
ただ、ここが肝心。それに気付けるかどうか。

私の主治医で、かつ「心の師」でもある先生に、20年前、教えていただいた言葉を紹介します。
「病気は、気付きのチャンスです。病気になって、大切な何かに気付けるかどうかが問題。
それに気付かないと、また病気になってしまうよ」

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