志賀内泰弘さんの「ギブ&ギブメルマガ」から紹介します。
たった一言でコンテスト受賞作品★いい言葉で賞★から一つ。
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『あんたの人生あんたのものよ』

私の弟はダウン症です。そのせいで周りからいじめられたり、
嫌な思いをさせられた事は一度もありません。
そして、その弟の存在は、幼い頃から私にたくさんの事を教えてくれました。

世の中には色んな人がいるということ。
喋れなかったり、歩けなかったり、様々な障害を持った人がいるけれど、
その人たちは決して不幸ではないということ。
私は、弟の通う養護学校の先生と話すうちに、その職業に憧れを持ち、母親に進路の相談をしました。

 すると、いつも優しく、穏やかな母がいつになく厳しい口調で
「あんたの人生あんたのものよ」ときっぱり言ったのです。

 私は初め、意味がわからなくて、「だから、障害のある人を助ける、
福祉関係の仕事にに就きたいんだよ」ともう一度言いました。
よくよく話しあうと、母は、私が弟に気を使っているのだと思ったそうです。

 ダウン症の弟がいるから、この子はなりたい仕事も選べない、と。
それはとんでもない誤解でした。
けれどそれから、両親と進路についての話をする度に、二人の愛情をひしひしと感じました。

 ダウン症の弟への。
進路に悩む私への。
一番下の妹への。

それから私は、色々考え、保育士として働いています。
面接で、障がい児と健常児が平等に楽しめる保育を、
と訴えた日は、もう12年もまえのことです。

仕事で行き詰ると、あの日の母の言葉が私を後押ししてくれます。
私が選んだ、私の人生。胸を張ってそう言えます。

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