志賀内泰弘さんのメルマガギブ&ギブから紹介します。
志賀内さんは中日新聞でも寄稿していました。
その中でも印象深い記事を一つ。
(もしかしたら一度掲載したかもしれません。)
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『お弁当のおばさんからの手紙』

(2011年)1月16日付「ほろほろ通信」で、河合孝治さん(41)の思い出話を紹介した。
母親を早くに亡くして父親との2人暮し。
それを見かねた公団住宅の隣室のおばさんが、幼稚園に毎朝持たせてくれたお弁当が今でも忘れられない。
今自分があるのは、あのおばさんのおかげです。ぜひお目にかかってお礼が言いたいという話だ。

翌々日、社会部に1通の便りが届いた。

「何げなく読み始めて、アレッ私のことだと確信しました。
あの孝治君が素晴らしい人間に成長していたこと、あのお弁当のことを忘れないでいてくれたこと。
鳥肌が立ち何回も読み返しては涙があふれてきました。
自分の娘の成長の節目ごとに、孝治君はどうしているかなと考えることがありました。
今も当時のお顔をはっきりと思い出せます。
今、私たち夫婦は春日井に引っ越してきて30年余り。
70と67歳のおじいさん、おばあさんです。
孫もでき元気に趣味を楽しみながら暮らしています。
どうぞこれからも、今の温かい心を持ち続け、
ご家族を大切にしてご活躍されることをお祈りしています」

ぜひ、2人をお引き合わせしたいと思ったが、手紙にはこんな言葉が添えられていた。

「『お礼を』とのことですが、もうこれだけで十分です。
お礼を申し上げたいのは私の方でございます。
ずいぶん迷いましたが、住所・氏名は伏せさせていただくことにしました。
孝治君によろしくお伝えくださいませ。春日井H.S」

河合さんからH.Sさんへ返事を預かった。
「父親も喜んでいます。できれば会ってお礼を申し上げたいと。
でも、負担をかけないようにとの気遣いなのでしょう。
実は、私の自宅も春日井。ひょっとすると、この30年の間にどこかですれ違っていたかもしれません。
本当にありがとうございました」      <中日新聞掲載2011年1月23日>

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いつまでも覚えていて、感謝する気持ちを忘れない河合さんも素晴らしいです。
そして、親切心からお弁当を作ってあげていたH.Sさんはほんとうにうれしかったと思います。

人は見返りを求めずに相手のことを思ってやったことが、
誰かに感謝されると本当に心が震えるんだと思います。

 

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