7月30日・8月5日に紹介した臨済宗の僧侶の松原泰道さん(故人)の話、
『人のために行動するということ(あるシスターとホームレスの話)』と、
そのあとの、『声かけ』の2つ目の話を紹介させてください。
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 東京のある劇場に行った時、
妻が休憩時間にトイレに行きました。
案の定、行列ができていたそうです。
トイレの順番待ちというのは結構皆さん真剣な顔をしています。
その時も重苦しい行列ができていたそうです。
 その時、一人の中年女性の順番が来ました。
すると、その方は後ろを振り向いて、「お先に失礼します」と言って、
ちょっと頭を下げたのだそうです。
 そして、その方がまた、出てきた時、次の人に「お待たせしました」と
また声をかけたというんです。
 それを見て妻はいたく感動したんですね。
 そして、その場が明るくなって、並んでいる人たち同士でおしゃべりが始まり、
 さらには、お年寄りに「お先にどうぞ」と順番を譲る人まで出てきたというんです。

 みんな心の中では幸せになりたいんです。
 楽しい時間を過ごしたいと思っているんです。
 でも、誰かがその扉を開いてくれないと、その心が出てこないんです。
 私の中学の時の英語の教科書に
「1人では何もできないが、1人が始めなければ何もできない」
という文章がありました。

 1人では何もできません。
みんな「誰かがはじめたらやるんだけれど・・・」という気持ちを持っています。
その「最初の1人」になるということです。
これを仏教用語で「菩薩(ぼさつ)」といいます。
「菩薩」とは修行を意味します。
観音菩薩、地蔵菩薩というのは仏道の修行者であります。
誰でも「菩薩」になれます。
「1人では何もできないが、1人が始めなければ何もできない」という時の、
最初の1人になることを「菩薩になる」と申します。
明日から声をかけるということにおいて、皆さん、菩薩になりませんか。

「声かけ」は人々の心の中に眠っているものを呼び起こします。
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声かけなら、私にもできそうです。
あなたもできると思います。

「菩薩」になりましょう。(笑)

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