7月30日に紹介した臨済宗の僧侶で故人の松原泰道さんの話、
『人のために行動するということ(あるシスターとホームレスの話)』ですが、
そのあとにも、2つ考えさせられる話がありました。
今日はその1つを紹介させてください。
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 現代人に一番なくなってしまったものが「声かけ」です。
心の貧しさから言葉を発しなくなってしまいました。
これはどういうことでしょうか。
 ある心理学者の先生が、「今の若い人がなぜ言葉を発しなかったのか」
ということを研究しておられます。
 そのきっかけは、先生がある日、1人の女子大生に「おはよう」と
声をかけたら、その女子大生から返事がなかったことでした。
「君、なんであいさつしないんだ?」と聞いたら、
その子は「なぜですか?」と言う。
「僕が『おはよう』と言ったんだから、君も何とか言ったらいいじゃないか。」
「何とか言わないといけないんですか?」
「いい悪いじゃなくて『おはよう』と言われたら、
『おはよう』と返すのが基本的なマナーだ。」
「そうですか。」
「そうじゃないと困るよ。」
 そしたら、その女子大生、「先生、質問してもいいですか?」と言いました。
「先生は朝のテレビのニュースを見ていて、ニュースキャスターが『おはようございます』と言ったら、『おはようございます』と返されるんですか?」と聞いてきたんです。
そういう考え方なんですね。
 つまり、一部の若い人たちは「テレビ」と「実際」とが混乱しているんです。
 その先生に言わせると、そういう人たちはあいさつをしないんじゃなくてできないんだ、と。
 なぜかというと、「人と関わりたい」という心がないからです。
その心がなくなってしまったから、あいさつできなくなってしまったんです。
 だから、私は「声かけ」をして、その心を取り戻したいと思っています。

 花を愛する人はよく花に声をかけますね。
すると花の咲き方が違ってくるといいます。
花でさえも人間の気持ちに応えようとするんです。
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以前は、家の近所の人ともあいさつをしたり、
話をしたりしていましたが、どうでしょうか。
最近は、あまりお互い干渉しない人が増えたような気がします。

これも時代の流れなのでしょうか。

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