志賀内泰弘さんの「ギブ&ギブメルマガ」から紹介します。
たった一言でコンテスト受賞作品★ハッピー賞★
『心が青空やったら雨の日はないんよ』
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 今から20年ほども前、新米教師の私はクラスの生徒指導や授業などが
うまくいかずに蟻地獄のような日々で落ちこむことが日課でした。 

そんな時にその学校の用務員のおばさんがふっとかけて下さった言葉です。 

「心が青空やったら雨の日はないんよ」

 笑顔で優しく私に声をかけてくれたおばさんはちょうど私と同じぐらいのお子さんがいる人でした。

故郷を遠く離れて赴任した学校だったこともあり、どこか故郷の母親に諭されたような
心境になったのを今も覚えています。 

おばさんは新米で遠いところからやってきた私に毎日のように
「先生、朝ごはんちゃんと食べとるね」
「困ったことがあれば、いつでも言いに来なさい」
と声をかけてくれる優しい人でした。

彼女は早くにご主人を亡くされ、幼かったお子さんたちを抱えながら、
懸命に学校の用務員としてひたすら働いてきた人でした。

それだけに「心が青空やったら」という言葉は私の胸にズンと響きました。

 朝から夕方まで校舎内外を縦横無尽に駆け回り、隅々までモップをかけ、雑巾で磨くおばさん。
そして、どの人にも満面の笑顔で接するおばさん。

その姿がこの一言と重なり合いました。 

それ以降、私は苦しい時や落ちこむ時こそ笑顔で人に接しようと心がけるようになりました。
もちろん、それはおばさんの言葉のおかげです。 

そして、事実おばさんの言うように「心」を笑顔で「青空」にしていくと、
不思議に自分の前に重く横たわった物事も好転したり、少しずつ解決の方向へ向かっていきました。

 自然の摂理の中で「雨の日」があるのは当然で、人知の及ばぬことです。 

しかし、自分の心の中にある天気に関しては、実は自分自身の心の持ちようにかかっているのだ
ということをおばさんの一言に従って生きていくうちに喜びのうちに実感したのもこの頃です。 

雨を降らしているのもわが心。
そして、それを青空に変えていくのも自分の努力次第。

私にそのことを教えてくれる羅針盤のような金言となりました。 

時の流れの中で私も転勤を重ね、今ではおばさんに会うこともなかなかできずにいます。

しかし、あの時に私に与えて下さった温もりのある一言とおばさんの笑顔は
今もわが胸の中でしっかり生きています。 

これまでの自身の教師人生を振り返った時にしみじみ私にとっての
最初の担任教師はあのおばさんだったと思います。
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あなたにとっての担任教師はいますか?

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