「自分が好きですか」林覚乗著から紹介します。
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親というのは、子どもが生まれて初めてなれるものです。
子どもが存在してこそ、親であることができるのです。

ある専業農家の話ですが、お父さんは無口で頑固者。
朝、農作業に行き、夕方帰ってくると、酒を飲んで
横になったままテレビを見て、寝てしまいます。
中学生の息子が話しかけても、知らん顔。
面白そうな番組をやっていても、笑いもしなければもちろん、
感想を述べることもありません。
お母さんまでが「ウチのお父さんは、面白くない人だ」といいます。
 ある日、息子が高校の合格通知を持って、跳んで家に帰りました。
お母さんはとても喜んでくれました。
「今日ぐらいは、きっと‥‥」と、父親の喜ぶ姿を期待して、
お父さんに合格通知を差し出しました。
しかし、お父さんは、「うん、そうか」と言ったきり、また農作業に向かいました。
期待が大きかっただけに、ムカッときて、
「おやじには面白いことがあるのか、幸せを感じることがあるのか」
そう詰め寄りました。
お父さんは、農作業の手を休めずにじっと聞いていましたが、
ポツリと一言いいました。
「俺はお前がいるだけで、本当に幸せなんだ」

少年は大感激だったそうです。
この少年が感じたものが、まさに自己確認です。
かけがえのない、たった一つの命を持っている自分。
それを大切に思ってくれている人がいるということが、少年にとっての大きな財産です。
この財産は、点数に表せるものではないし、お金にも換算できるものではありません。
一人ひとりが、毎日の生活の中で、出会いの中で感じるものなのです。

以前、あるお母さんから手紙をもらいました。
そこにはこう書かれていました。
「先日、ふっと娘たちに『生まれ変わっても、ママの子供がいいかなあ?』
とたずねてみました。」
上の娘は目に涙をためて、『ママとパパの子供が一番に決まったろうが。
でも、死んだら何もかんも忘れるけん、死んだらいけんと。ママが死ぬって考えとうない』
と言いました。下の娘は、ニコニコとしながら、『ママが一番好きやから、また子供になりたい』
と言いました。私も急に胸がジーンとして、二人を抱きしめました。
子どもはありがたい。つくづく思いました。
他人さまから見てできの悪い子供かもしれないけれど、私と主人から見ると、宝物」

親にとって、子どもは宝です。
しかし、子どもにとっても親は宝物なのです。
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「あなたがいるだけで、本当に幸せだよ」というだけで、
みんなが幸せになる。 

そう思いませんか。

 

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