『運命の流れを変える!しあわせの「スイッチ」(ひすいこたろう著)』に掲載されている話です。

 ある児童施設での話です。
 その施設で働く寮母さんは50歳をすぎて老眼鏡を必要とするようになりました。
肉体の衰えは誰にでも訪れるもの、と思いながらも、どこかさびしい気持ちを抱えていました。
 ある日のこと、施設の子どもが声をかけてきました。
「先生、眼鏡をかけているの?」
 寮母さんは恥ずかしさから、「老眼鏡さ」と無愛想に答えました。
 すると、その子どもは意外なことを言いました。
「よかったね」
 寮母さんが「何がよかったの?」と聞き返すと、その子はこう答えました。
「老眼鏡がかけられるまで生きられてよかったね」
 その施設で暮らす子どもたちはみんな、成人するまで生きるのが難しい障害を持っていたのです。

 限られた命を生きる子どもたちは、こんな夢を持っています。
「お父さんとお母さんと、外でラーメンが食べたいな~」
「自分の家でゆっくりしたいな~」
「みんなと一緒に学校に行きたいな~」
 そして何より、「大人になりたいな~」というのが、彼らの夢なのです。

 ぼくらは今すぐラーメンを食べに行く事だってできるし、家でゆっくりくつろぐことだってできます。僕たちは彼らの夢をいとも簡単にかなえているのです。
 普通の一日、それは彼らにとって夢のような一日なのです。

 夢はいつかかなえるものではない。
 朝、目が覚めたときにすでにはじまっているもの、それが夢なのです。
 友だちとご飯を食べるときには、いつもこう思い出してください。

「私は今、彼らの夢の中を生きている。」
会社から自宅に帰ってきたら、こう思い出してください。
「病院ではなく、自分の家でゆっくりできる。わたしはいま、彼らの夢の中を生きている}
 
 そして、誕生日にはこう思い出してください。」
 「私はまたひとつ大人になれた。大人になりたかった彼らの分までしっかり生きよう」 

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