前回の「子どものウソ①」の続編です。児童精神科医の佐々木正美さんの
著作『はじまりは愛着から~人を信じ、自分を信じる子どもに~』から紹介します。
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ウソをついた子供の自尊心を守る

 ウソをつく子どもが悪いのではありません。
子どもが幼ければ幼いほど、子どもにウソをつかせるような周囲の大人が
悪いのだというくらいの気持ちで、接するのがいいでしょう。
 子どもは自分が傷つくことはもちろん、相手を傷つけたり、
不愉快な思いをさせたりすることも嫌なのです。
だからウソをつくわけで、そのことを、私たち周囲の大人たちは、
しっかり理解して接したいと思います。
 そのためにはまず、子どもがウソをついていると分かっていても、
決して強く叱ることはせず、「お母さんはあなたのウソがわかってるのだ」
ということを、できるだけ穏やかに伝えることです。
そして、その先の会話を自然に、上手に続けられるよう、
子どもの言うことをじっくり聞く努力や協力をしてあげてください。
 そういう心がけを続ければ続けるほど、お母さんの愛情は
ますます豊かに子供に伝わっていきます。ウソを叱らなかったといって、
子どもがますますウソを作っていくわけではないのです。
 幼い子どもは、自分のプライドやお母さんの気持ちを考えながら、精一杯ウソをついているのです。
ですから、「あなたのそういう気持ちをわかって、お母さんも受け入れているのよ」と、
子どもに理解させることは、最善のしつけや養育になるでしょう。
 ウソをついてしまったという窮地を、子どもの自尊心を守りながら救っているわけですから、
それは巧まずして、最上の愛情を与えながら、優れた教育をしていることになるのです。
 ですから、子どものウソに気づいても、安易に感情的にならないで、
穏やかな気持ちをもって、ウソをつく子どもの気持ちを抱擁しながら
育てるように心がけてください。これは「できるだけ」でいいのです。
こういう気持ちを忘れずに子どもを育てていれば、
子どもは安易にウソなどつこうとしなくなっていくものです。 
 (③に続く)

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