この詩は日本の教育者であり、浄土真宗僧侶でもある東井義雄先生(平成3年没)が書かれたものです。
自分の心にある弱い部分と戦うときに後押ししてくれる詩です。

小さい勇気をこそ    
         東井義雄

人生の大嵐がやってきたとき
それがへっちゃらで乗りこえられるような
大きい勇気もほしいにはほしいが
わたしは小さい勇気こそほしい

わたしの大切な仕事をあとまわしにさせ
忘れさせようとする小さい悪魔が
テレビのスリルドラマや漫画にばけて
わたしを誘惑するとき
すぐそれがやっつけられるくらいの
小さい勇気でいいから
わたしは それがほしい

もう5分くらい寝ていたっていいじゃないか
けさは寒いんだよと
あたたかい寝床の中にひそみこんで
わたしにささやきかける小さい悪魔を
すぐにやっつけてしまえるくらいの
小さい勇気こそほしい

明日があるじゃないか
明日やればいいじゃないか
今夜はもう寝ろよと
机の下からささやきかける小さい悪魔を
すぐやっつけてしまえるくらいの
小さい勇気こそほしい

紙くずがおちているのを見つけたときは
気がつかなかったというふりをして
さっさといっちまえよ
かぜひきの鼻紙かもしれないよ
不潔じゃないか と呼びかける小さい悪魔を
すぐやっつけてしまえるくらいの
小さい勇気こそ わたしは ほしい

どんな苦難ものり切れる
大きい勇気もほしいにはほしいが
毎日 小出しにして使える小さい勇気でいいから
それが わたしは たくさん ほしい

それに
そういう小さい勇気を軽蔑していては
いざというときの
大きい勇気も つかめないのではないだろうか

あなたには小さな勇気はありますか。

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