松岡浩さんが昨年出版された小冊子『成形の功徳』で
興味深い話が紹介されていました。
————————————-
四国の徳島県に池田高校という野球の強い高校があります。
少ない部員で四国の代表になり、甲子園で「さわやか旋風」と
報道され、大活躍を演じたチームです。
その野球部を鍛えていたのは蔦 文哉(つた ふみや)監督でした。

野球部に新入生が入ってくると、蔦さんが最初にやらせたことは、
ボールを握らせるのでも、バットを持たせるのでもない。
生徒を一列に並べて、ひたすらに草をとらせることでした。

蔦さんは言うのです。
「野球部に入ってくる一年生を横に並べ、グランドの草取りをさせる。
顔も見ないし、名前も聞かない。ただ、黙々と草をとらせる。
生徒の後ろに立って、作業しているその背中を見ると、
その生徒は家庭でどんなしつけを受けてきたか。
小学校や中学校でどんな学習態度であったか。
それが全部背中に書いてある。
 しばらく草取りをやらせていると、やがてこの生徒は主将になる。
この生徒はピンチに強いであろうという資質が読み取れる。
この判断はほぼ間違っていない。」と。

 15歳の少年たちの背中に、15年間の家庭や地域での
それぞれの出会いの歴史を読み取って、ここに応じた鍛え方をされた
蔦監督の教育哲学が陰にあってこそ、当時の大活躍が生まれたのだと思います。

(1998年、タニサケ発行の小冊子、坂西輝雄先生の先生の
『今、こころの時代に』(絶版)より。)
——————————-
草取りの姿で、その人がその後に、どう成長していくのか、
どういう人間になっていくのか、わかってしまうなんて。

自分が草取りをしたとしたら、どういう判断されてしまうのでしょうか? 

そうでした、今の自分の姿がそのまま想像されるということですね。

校内連絡