ある雑誌に寄稿されている話がよかったので紹介します。
愛知県豊橋市の男性の方です。
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 私は、大手自動車メーカーの工場で働いています。
勤続28年、現在のエンジンのライン作業に入ってからは、もう15年になります。
 仕事は単純作業の繰り返しなので、10年もたつうちにマンネリ化し、
気持ちも落ち込むようになっていました。
 そんな折、70歳を超えた母の自家用車が故障しました。
買い替えるにあたり、自社の車を母に勧め、頭金以外の費用を私が出して車をプレゼントすることにしました。
母の安全のために選んだ車種は、私が働いているラインで作っているものでした。
 仕事に対する意識が変わったのはその時からです。
「母に贈る車が今日、ラインに流れてくるかもしれない」と考えると、作業が楽しく感じられるようになったのです。
けれど、母のものだけ特別丁寧に作るというのは、少し違う気がしました。
 そこで、「人さまが乗る車に対しても、母のものと同じ気持ちで作ればいいんだ。」と思い至ったのです。
 一日の作業時間は8時間から10時間ですが、以前は、「なかなか時間がたたない。まだこんなにも作業があるのか。」
などと暗い気持ちでいました。
 けれど、今は心弾んで取り組めるようになりました。
上司や同僚から「いつも元気だね。」とか「すごく張り切って作業している
けれど疲れないの?」と言われるようになりました。
 また、仕事でミスをした時、何回も繰り返し注意されたり、自分の気に入らない言い方をされたりすると、
以前は「そんな言い方をしなくてもいいのに」と思ってしまい、
その言葉を心から受けいられませんでした。
 そうした自分の強情さに気かせていただき、素直に聞けるようにもなりました。
自分がミスをして周囲に迷惑をかけているのに、そのことは棚に上げて、不満に思っていたことも反省しました。
 会社が掲げているスローガンの最初に「お客様の立場になって価値ある製品を作ろう。」というものがあります。
言葉の意味は分かっているつもりでしたが、今ようやく腑に落ちる気がしています。
神様が仕事の意義に気づくチャンスを与えてくださったのだと感謝しています。
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どんな作業でも、どんな仕事でも、考えてみればそれぞれ意味があるんですよね。
その思いをよくかみしめながら仕事をしなければなりませんね。
私も原点に立ち返ります。

  

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