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日本講演新聞(旧みやざき中央新聞)の編集長
水谷もりひとさんのブログから紹介します。
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悪いことをさせてしまった

 悪いことをさせてしまった。
 今になって、ふと考える。

 昨日の午前7時くらいのことだ。
 大阪・梅田のLOFT近くのマックで朝セットを食べながら本を読んでいた。

トイレに行った。
 財布を置いたままだと危ないので、
バッグから財布とスマホを取り出し、
 二階のトイレの個室に入った。

 僕には変な癖がある。
トイレを出るとき、便器の掃除をするのだ。
トイレットペーパーを少し長めに取って、便器の中を軽く拭いた。
その間、財布とスマホを便器後ろの棚に置いた。

そして置いたまま個室を出た。
 出たら一人、オシッコしてる人が一人いた。

トイレを出てすぐ置き忘れに気づき、慌ててトイレに戻った。
トイレに入ると、ちょうどさっきオシッコしてた人が
個室から出てくるところだった。

 僕を見た瞬間、彼は手を後ろに隠した。
 一瞬、お金を隠したと僕は確信した。
ふと便器のところに目をやると、財布とスマホがあった。

 「それ、僕のだよ。ダメだよ」
そう言って、後ろに隠した彼の手を掴んだ。
お札が握り締められていた。

とっさのことだったこともあり、彼は抵抗することもなく、
「すみません」と言って、素直にお金を僕に戻した。

 僕も彼を責める気にならず、「いいんだよ。大丈夫」と言って、
 個室の中に置き忘れた財布とスマホを取って、トイレを出た。

 「危なかった」
 「危機一髪だった」と思った。

そしてすぐマックを出た。 

しばらくして思った。
 彼に嫌な思いをさせてしまった、と。

 僕が財布を置き忘れさえしなかったら、
彼はそんな経験をしなくて済んだのに。

 財布をトイレに置き忘れるほうが、ネコババするより悪い。
それは世界の常識だ。

 悪いことをしてしまう環境をつくったほうが悪い。

  世の中にはお金に困っている人はたくさんいる。
トイレに置き忘れた財布があったら出来心で盗ってしまうのも人情である。

 環境がそうさせるのだ。
 環境が、自分の中に眠っていた悪い心を呼び覚ましたのだ。

 僕は彼に悪事を誘発させてしまった自分に猛省した。
 二度とあんなことをする人が出現しないように心掛けなくては。

 彼に悪いことをさせ、嫌な思いをさせてしまった。
 二度とこんなことをさせないように気をつけよう。
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考えさせられます。
あなたは「忘れた人」と「盗った人」はどちらが罪があると思いますか。

20210212

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