志賀内泰弘さんの小冊子「見えないものに価値がある」から紹介します。
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手間ひま ~それは愛情の証(あかし)~

テレビの情報番組で、こんな実験をしていました。
街角の二十人に、目隠しをしてもらい、二種類のすまし汁を飲んでもらいます。
一つは、かつお節を削り器を使って手で削ったもの。
もう一つは、市販されているかつお節のパックです。
もちろん材料は同じ。さて、どちらがおいしいか。
軍配はいかに。

結果は、全員が手で削ったものの方がおいしいと答えていました。
一人くらいはと思いましたが、圧倒的な判定です。
そのあとが面には医学博士が登場。
何でも科学的根拠があるというのです。
手で削ったものの方が、パックのものよりも二倍のイノシン酸(うまみ成分)
が含まれているということでした。

昔、ラジオで聞いたこんな話を思い出しました。
ある学校の給食の調理室でのエピソードです。
今まで野菜を電動カッターで切っていたのを、手間ひまはかかるけれど
給食のおばさんたちが一つ一つ包丁できるようにしたら、
生徒たちの中でキレる人が激減したというのです。
その番組では、根拠までは説明していませんでしたが、
なんだか不思議に納得できてしまいした。

勝手に想像するなら、機械を使ってカットすると表面がきれいに切れすぎてしまう。
手を切ると、そうはいかないでしょう。
その断面の違いが何らかの科学的作用を起こすのかもしれません。

でも、そんな難しいことを考えるよりも、ふっと浮かんだのは
「手間ひま」という言葉でした。
レトルト食品を使わずに、手間ひまかけて作ってくれた
お母さんのお弁当は、何よりも代えがたいものがあります。
その手間ひまとは、愛情の証だからにほかなりません。
かつお節の話も、給食の話も、愛情の違いなのだと思います。

そう、目に見えないものに価値がある。
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 両親が作ってくれたお弁当を味わって食べましょう。

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