「自分であり続けるために」田坂広志著から紹介します。
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実社会に出て、
新入社員として働き始めた頃、
一人の上司が、食事に誘ってくれました。

静かなレストランで楽しく時を過ごし、
食事を終え、最後のコーヒーを飲んでいるとき、

その物静かな上司が、
ふと、独り言のように、
語り始めました。

毎日、会社で色々な問題にぶつかって、苦労するよ。
そのときは、会社の方針に原因があると思ったり、
周りの誰かに責任があると思って、
腹を立てたりするのだけれど、
家に帰って、一人で静かに考えていると、
いつも、一つの結論にたどり着く。

すべては、自分に原因がある。

そのことに気づくのだね。

あれから何十年かの歳月を経て、思います。

あの上司は、自らを語る姿を通じて、
若く、未熟な一人の人間に、
大切なことを教えてくれた。

そのことの有難さを、思います。

そして、長き歳月の歩みを振り返るとき、
あの上司が教えてくれた心の姿勢が
一つの力を与えてくれたことに、気がつきます。

引き受け。

すべてを、自分自身の責任として、引き受けること。

そのとき、我々は、
深く、静かな「強さ」を、身につけるのです。

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