もう10年以上も前の上司が教えてくださった話です。
その方は対人関係を心理学の方面から勉強されていて、
カウンセリングやコーチング、NLPとか研修を受けておられました。
その方の教えてくださった中で心に残った話を一つ紹介します。
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誰のために質問をするか?(coach21コラム 鈴木義幸氏による)

ある新聞社で、研修(コーチング?)を実施した弊社のスタッフから聞いた話です。

 質問についてのセッションをしていた時に、かつては記者として勤め、
現在は管理部門のスタッフをしているという参加者の方がレクチャー(講義)
に突然割って入りました。

そして、少し挑みかかるように問いを発せられた。
「新聞記者として、どのように政治家や企業人に質問するか、
これまでもいろいろと考えてきました。あなたが言う方法(オープンクエスチョンも
クローズドクエスチョン)も、もちろん知っています。
記者がする質問とコーチ(研修の講師)がする質問は、いったい何が違うんですか?」

 「新鮮な情報など何もない。」「そのことはすでに知っている。」
そんなことを言いたげな様子が伝わってきたそうです。

スタッフは次のように答えました。
「おそらく、記者さんは『自分のために』質問しますよね。
記事を書くために情報が欲しいから当然です。
一方私たち(コーチ)は自分のためではなく、
『相手のために』質問をします。それが一番の違いですね。」

相手は一瞬目を見開いた後、深くうなずいて、そして言ったそうです。
「途中で止めてすみませんでした。次をお願いします。」と。

 一般的に、人は自分のために相手に質問する傾向があります。

例えば、学校から帰ってきた小学生の子供に、
「宿題はあるの?」「今日は先生から何か連絡ない?」
「手は洗った?」「テストの点数はよかった?」
これらは、子供のためというよりは、自分の情報不足を補って、自分が安心するための質問です。

では、もし、子供のために質問しようと思えば、どうなるか?
「学校のことで、何かお母さんに手伝えることある?」
「今日、学校で一番楽しかったことは何?」
「宿題を楽しくやるには、どんな工夫ができると思う?」

全く違った質問が生まれる可能性があります。

上司も同じですよね。営業報告をしに来た部下に、
「本当に取れそうなのか?」「いつ先方の決済が下りるんだ?」
「見積もりに間違いは何か?」と立て板に水のごとく質問するのは、
上司の不安の解消が主目的となっています。

もし、部下のために質問するというスタンスをとれば、
「確実にとるために僕からサポートできることはあるか?」
「きっと多くの苦労があっただろう?どんなふうにしてここまで持ってきたんだ?」
「最後の詰めで欠かせないことは何だと思う?」「今日の成功で何を学んだ?」

こんな質問が生まれるかもしれません。
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「相手のために質問をしよう」
そう思っただけで、質問は相手のためのものになります。
そして、深く考えるようになるのです。

あなたも質問の視点を変えてみませんか。

 

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