志賀内泰弘さんの「みんなで探したちょっといい話」
から紹介します。
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ある友人から、こんな話を聞きました。
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 はるか昔、桜咲く四月のこと。
彼が高校へ初めて登校した日の出来事でした。
 バスは満員でした。
 そのなかには、緊張した表情から明らかに自分と
同じ新入生と思われる生徒の姿もありました。
 重いかばんを持ち、吊革につかまっていると、
「おい、のせろよ」と言うなり、前に座っている
先輩が彼のかばんを奪うようにして、
自分の膝の上にのせてくれたというのです。
 それだけではありません。
 みれば、そこにはかばんが三つものっていました。
あたりを見回すと、なんと五つものせている人もいます。
 これから、ドキドキ、ワクワクが始まるという初日に
「なんて素晴らしい学校に通えるのだろう」と、
とてもすがすがしい気持ちで学校の門をくぐったそうです。

 これを「校風」とか「伝統」と呼ぶのでしょう。
校風も伝統も目に見えないものであり、お金で買うことはできません。
 その校風を長年にわたって築いてきたのは、
学校の先輩たちの「思いやり」の心です。

 その友人は周りの人たちにとても気づかいのできるあたたかな人柄です。
何も用がなくても、ときおり「元気にしてる?」と電話をくれます。
 私が以前、大病をしたことをいつまでも覚えてくれているのです。
もちろん、誰に対しても。
 だから彼のファンはいっぱいいます。

 きっとそんな校風の中で学びながら、
人に対する思いやりの心を受け継ぎ、身につけたのでしょう。
 それが結果として、幸せな人生を送るための糧となったのでしょう。
 それは校風、伝統、思いやりという「見えないもの」のおかげでした。
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 今、今治明徳中は「校風」、「伝統」を積み上げている最中です。
みんなの力で、卒業生が誇ることのできる「校風」、「伝統」が
出来上がっていくとうれしいですね。

本当に楽しみです。

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