以前に今治明徳中学校で保護者対象講演会で講演していただいた日本講演新聞編集長の
水谷もりひとさんの著書「子供の心を揺るがす“すごい”人たち」から紹介します。
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長年、経営コンサルタントとして、世の中の構造と人間の正しいあり方を研究してきた
船井総合研究所の創業者・船井幸雄さんがその本質的な問題を学び、実践する団体として「にんげんクラブ」を作った。
その「にんげんクラブ」の機関誌に瀧澤仁という学習塾の塾長が毎回レポートを寄せている。
これがなかなか面白い。1月号は「受験にむく子とむかない子」だった。

 受験というのは、人間の特に成人前の子どもたちの知性や能力を評価するために取りいれた社会システムの一つだ。
このシステムに、瀧澤さんは「むく子」と「向かない子」がいると、たくさんの子どもたちを見て感じるようになった。

たとえば、「むく子」はこういう子だった。
①負けず嫌いで、常に勝ち負けや順位を気にする子
②プライドが高い子
③ランク付けを自分の励みにできる子
④先生に言われたことを「そういうものだ」と聞くことができる子
⑤システムに順応する力が高い子。

一方、受験に「むかない子」は次のようなタイプだそうだ。
①勝ち負けや順位を気にしない子
②いくら「勉強しなさい」と言われてもやらない子
③「勉強しないと将来困るぞ!」という脅しが全く聞かない子
④大人の言うことをうのみにしない子
⑤自分の頭で考えて納得しないとやらない子
⑥「どうして?」「なぜ?」という質問をしてくる子。

瀧澤さんは、別にどちらがいいと言っているわけではない。
ただ、傾向として、「むく子」は親や先生から褒められることが多く、
「むかない子」は叱られることが多い。
「むく子」は頭も含め人格的にもいい子と思われていて、
「むかない子」は人間性も含めて問題児と思われていることが多い。

どうも「むかない子」は常に不利な立場にいるようだ。

面白いことに、瀧澤さんの塾にはその「受験にむかない子」ばかりが入ってくるという。
そんな子どもたちばかり見てきた瀧澤さんはこう思うようになった。

「この子たちは決して問題があったり、劣っている子ではなく、むしろ進化した子であり、底力のある子。
この子たちに今の教育システムがついてこれないだけ」

つまり、「なんでそうなるのですか?」とか「どうしてそうなっているのですか?」
という質問にいちいち対応する教育システムというか、授業のあり方をこの国は導入していない。
だから、「むかない子」にとって授業はますます面白くなくなっていくし、成績は下がっていく。

たとえば、「植物の葉っぱが緑色をしているのは葉緑体が緑色だからです」と教えられたら、
「葉緑体が緑色だから葉っぱは緑色だ」と覚えればいいのに、
「底なしの好奇心に満ち溢れている子」は、なぜ葉緑体が青ではなく緑なのかが気になる。
しかし、先生はそういう話をしないので、授業についていけなくなる。

そういう子に瀧澤さんは光合成の仕組みを説明する。
葉っぱにある葉緑素は、光を浴びると「光の三原色」のうち青系の光と赤の光を吸収して光合成をおこなう。
しかし、緑色の光は吸収されずに残ってしまう。だから、葉っぱは緑色に見えるのだ、と。

「底なしの好奇心に満ち溢れている子」はこの話を聞いて、「へぇ~面白い」となる。
「むかない子」は、頭の悪い子ではなく、今の教育システムにあった頭の使い方ができないだけなのかもしれない。
なのに成績の順位が下のほうの彼らは、問題児扱いされたり、場合によっては不登校になったりする。

瀧澤さんは言う。
「彼らは自分が納得して決めたことはやるので真摯に向き合い、しっかり話せばわかってくれます。
適度に力を抜いて接したほうがいい親子関係がつくれます。」
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好奇心に満ち溢れている子を見逃さないようにしなければいけません。

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