月刊誌「致知」の中から紹介します。
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2023年7月、福岡で開催された世界水泳選手権にて、日本アーティスティックスイミング界の絶対的エースと名伯楽が一躍脚光を浴びました。
ソロ種目で2個の金メダルを獲得し、2大会連続2冠の偉業を成し遂げた乾友紀子さんと、
その専属コーチとして指導に当たった“メダル請負人”の異名を取る井村雅代さん。

東京五輪での悔しさを糧に、二人三脚で特訓の日々を積み重ねてきたといいます。
いかなる努力によって自己を磨き、世界の頂点を掴んだのでしょうか。
お二人の戦いの軌跡から、勝利する者の条件を探ります。

[乾]
どれだけ練習時間があったとしても、そこに全力で打ち込める体力とメンタルを調えておかなければ、同じ時間練習しても全然身にならない。
ですから、練習以外の時間に行う食事や身体のケアが大事になってきます。

この競技は脚で表現するので、脚が綺麗じゃないとダメ。
日常生活の中でそういうことを考えながら、ベストコンディションで練習に臨めるように自己管理を徹底していました。

私は特別な能力を持っているわけでもなく、人よりも努力できるタイプでもないんですけど、
この競技が好きで好きで仕方がないというアーティスティックスイミングへの愛、
それだけは強く持っていて、誰にも負けないんじゃないかと感じています。 

[井村]
私が見ていて感じる彼女の強みは、先ほども少し言いましたけど、とにかく素直。
それは他の選手と全然違いましたね。

私が言ったことに対してポンとすぐ反応してくれる、やろうとしてくれる。
だから、無駄な時間が要らないし、どんどん伸びていく。

反対に、自分の理屈を通してこちらが提案したことを素直に受け入れない人がいて、
私はそういう人は心のシャッターを下ろしていると言っているんです。
シャッターを下ろしていないまでも、心にバリアをつくっている人が多い。

私はそういう人に対してストレートに「損だよ」って言います。
「一回受け入れたら?」「自分を守って得してるようだけど、損してるよ」
「理屈はいいからまずやってごらん」「人の助言を一回試す勇気を持ちなさい」
「何でも面白がってやらな」って。

 いつも言うんですけど、人間に限界ってないんですよ。
自分の心がつくっているだけです。

素直な人って自分の可能性を引っ張っていくことができるんです。

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