致知出版社の「人間力メルマガ」から紹介します。
カー用品チェーン大手「イエローハット」の創業者にして、“掃除の神様”の異名をとる鍵山秀三郎さん。
2007年12月号の『致知』に寄稿され、大きな反響を呼んだ「請求書の人生と領収書の人生」
という文章の一部をご紹介します。
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「請求書の人生と領収書の人生」 鍵山秀三郎(イエローハット相談役)
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“もっと、もっと、もっと”

際限なく求めて欲しがって生きるのは、「請求書の人生」であると、
知人の有吉説志様から教えていただきました。

有吉様は、幼い頃お祖母さんから、寺社にお参りした時は「ありがとうございます」と
請求書ではなしに領収書のお参りをしなさい、と教えられたそうです。

向上心や探求心は人の成長に欠かせない大切な条件ではありますが、
度の過ぎた欲求は人を卑しくし、ひいては国家の尊厳を傷つけることにも繋がります。

有吉様のお話を通じて、求めるばかりではなく、
いま与えられているものごとに感謝の心を持つ
「領収書の人生」を歩めと教えていただきました。

日本には領収書の生き方をしている方が大勢おられますが、
そういう方は世間から注目されることはありません。

請求書の生き方をする人が派手で目立つのに比べて、
領収書の生き方をする人は地味で人目につかないところが共通しているからです。

誰からも注目されず、光の当たらないところで、いつ報われるか分からないことにも
心を込めて取り組んでおられるそのお姿からは、卑(いや)しさは微塵(みじん)も感じられません。

他人に頼ったり、求めたりすることなく、人の役に立つことだけを念頭において、
一途に歩み続けるお姿は、人を惹き付ける豊かな魅力を備えています。 

このような方々は、お互いに住む世界は異なっていても、
一度会っただけで朴訥なお人柄に惹かれ、年来の知己のようになります。
語り合ううちに、この方の成功を祈り、ささやかであってもお手伝いをしたいという思いが湧いてきます。

そして、この領収書の生き方をされている方々同士のご縁を結ぶことの大切さを実感いたします。 

(『致知』2007年12月号より)

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