chinnmoku

紹介文

誰もが社会の授業で習った江戸時代のキリスト教の禁教の際に
習ったであろう「踏絵」とはどういうものだったのか。
その禁教における日本の状況を描写した大作です。
中学生では難しいかもしれませんが、是非とも読んでください。

島原の乱が鎮圧されて間もないころ、キリシタン禁制の厳しい
日本に潜入したポルトガル人司祭ロドリゴは、
日本人信徒たちに加えられる残忍な拷問と悲惨な殉教のうめき声に接して苦悩し、
ついに背教の淵に立たされる……。
神の存在、背教の心理、西洋と日本の思想的断絶など、
キリスト信仰の根源的な問題を衝き、〈神の沈黙〉という
永遠の主題に切実な問いを投げかける長編。
コミで広がり、135万部(2014年5月現在)を突破した話題の小冊子。

著者の言葉(ちなみに作者の遠藤さんはクリスチャンです。)
長崎で見た、踏み絵の木枠についた指の跡のことを、東京へ帰ってからも私は忘れられませんでした。
夕べに散歩する時、夜に酒を飲む時、黒い指跡が目に浮かびました。
そして三つのことを考え続けたのです。
ひとつは、踏み絵を踏んだ時の気持ち。
次に、踏んだのはどんな人だったろうか。
そして、私がその立場にたたされたら踏むかどうか。
強い信念を貫き通すより、踏む可能性の方がはるかに高いと思ったな。
拷問は苦しいだろうし、やはり家族まで殺されるのは可哀そうです。
私は弱虫なのです。

小説というのは、やみくもに書くのではなく、自分の視点から書くものです。
そして『沈黙』は、〈迫害があっても信念を決して捨てない〉という
強虫の視点ではなくて、私のような弱虫の視点で書こうと決めました。
弱虫が強虫と同じように、人生を生きる意味があるのなら、それはどういうことか――。
これが『沈黙』の主題の一つでした。(「波」2016年10月号、講演採録より) 

詳細

  • 生徒★★★  保護者★★
  • 沈黙
  • 遠藤周作
  • 新潮社 ¥649(税込)

 

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