「スマホ」と「脳」の関係(新潮新書「スマホ脳」から)

比田井和孝さんの『比田井通信』で新潮新書「スマホ脳」をよんで
感じたことを書かれていました。
スマホによって集中力がどんどんなくなっていくという話です。
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この本、「スマホ脳」と書いてあるだけあって、
「スマホ」と「脳」の関係をメチャメチャ科学的に分析しています。

 ドーパミンという脳内物質があります。
 ドーパミンとは、例えば、
 ・社会的な成功
 ・給料が上がる
 ・何かを達成した時
 ・スポーツの大会で優勝した時

こういう時にでるのがドーパミンです。

別の言い方で言うと興奮、高揚している状態のことです。

 パチンコで勝ってもドーパミンはでますし、
お酒を飲んで興奮しているときもドーパミンはでます。

 逆にいうと、ドーパミンというのは依存症になることもあります。

 ギャンブルやアルコールはその典型です。

 ドーパミンは「報酬物質」とも呼ばれていて何かを達成して
興奮し、高揚しているときに脳内に分泌されます。

 この「スマホ脳」ではさらに詳しく書いてあります。

 ドーパミンのもっとも重要な役割は私たちを元気にすることではなくて
何に集中するのかを選択させること。
つまり、行動の原動力となる物質なんです。

例えば、おなかが空いているときに目の前に
おいしそうな食べ物がでてきたら、ドーパミンがでます。

 その食べ物を食べるという選択がやってきたんです。

 ここでのポイントはその食べ物を食べているときに
でるのではなくて、「これから食べ物を食べるぞー!」と
選択をしているときにドーパミンが出るんです。 

食べているときに出るのは「満足物質」と言われている「エンドロフィン」です。

 つまり、実際に食べている時より「食べるぞぉ~!」と思っているときの方が脳は興奮しているんです。

スマホを見ていると、常にいろんな情報が出てきますよね。
しかも、あなたが興味を持ちそうな情報がでてくるんですよ。

 結果、私たちの脳は「食べるぞぉ~!」と思っている時と同じように、
「今、読んでいるページ」よりもこれから読もうとしている
「次のページ」に対して興奮しているんです。 

だから、次のページをクリック、またはタップする瞬間にドーパミンが分泌されます。

もしくは、「今、読んでいる記事」よりも「次の記事」をクリック、
またはタップする瞬間にドーパミンが分泌されます。

つまり、私たちはスマホを「記事を読むため」ではなくて
「タップ」するために1日何時間も見ているんです。

 しかも、タップするたびにドーパミンがちょっとずつ出ますから、
ずぅ~っと興奮している状態なんです。 

だから、スマホを見だすと眠れなくなります。
何時間でも見ていられるんです。 

さらにそれを続けていると依存症になります。 

いやぁ~、私、これ読んでいて気づきました。
ホント、まさしく自分がそうなんです。 

興味のありそうな記事を見つけるとタップして読みますよね。
 でも、ちょっと長い記事になるともう集中できないんです。
内容なんてたいして頭に入ってこないんです。 

気持ちはもう「次の記事」です。
また、その「次の記事」でも同じことの繰り返しです。
 「集中力」もなくなるわけです。 

でも、スマホの怖いのはこれだけじゃないんです。

 人間の脳は「かもしれない・・・」が大好きです。
確実なことより「かもしれない・・・」と
思っているときの方が行動を促せるんです。

例えば、「お金がもらえるかもしれないカード」を引くのと、
「確実にお金がもらえるカード」を引くのとでは、 

「お金がもらえるかもしれないカード」を引く方が
圧倒的にドーパミンの分泌量が多くなります。 

この「かもしれない」というのは「もしかしたら・・・」ということです。

 スマホを机の上に置いた状態で勉強をすると(仕事でも同じです)
 「もしかしたら、友達からラインがきているかもしれない」
(「もしかしたら、大事なメールがきているかもしれない」)
という思考が働きます。

もうそれだけで我慢できなくなります。
そして、スマホを開くだけでドーパミンがでるんです。
やたらとスマホをチェックせざるを得なくなります。

集中なんかできません。

これは、英単語をスマホで調べるから集中できないという話ではなくて
机の上に置いておくだけで集中力がなくなるんです。

 じゃぁ、机の中にしまえばいいですか? 

ダメです。机の中にスマホがあっても
「もしかしたら・・・」という気持ちは一緒です。 

ある実験で、机の中にスマホを置いた状態で勉強をするのと
教室の外にスマホを置いた状態で勉強をした場合とで

その後のテストの結果は、教室の外にスマホを置いた状態で
勉強をした場合の方が高かったそうです。

 机の中のスマホは見ようと思えば見れるんです。

さすがに、教室の外にスマホを置いた状態では
たとえ、ラインが来ようがメールが来ようが見ることはできませんから、

脳があきらめて勉強に集中できるということなんですね。 

さらに、
「たとえスマホを持っていても我慢して見なければいいんでしょ
 気にしなければいいんでしょ」ということではないんです。

 「気になるけど、我慢して見ない」「気にしないようにしよう」
と考えてるだけでエネルギーがかかるんです。 

結果、「集中力」が続かなくなります。 

人類は本当に恐ろしい道具を手に入れてしまいました。 

スティーブ・ジョブスもビル・ゲイツも自分の子どもに
デジタルデバイスを与えない理由がここにあるのかもしれません。

 今日は「集中力」に関する話だけですが、スマホによる「睡眠障害」・
「うつ」・「学力低下」・「依存症」という影響もあると言われています。

 だからと言って「スマホを使うのはやめましょう!」という話ではなくて、
 あっ、使わなくても済む人はその選択肢もありかもしれません。

 でも、多くの人はもうスマホなしでの生活は考えられないという状態だと思います。
 私もその一人です。 

今日、お伝えしたいのはこういうことを知ったうえで 
スマホとの付き合い方を自分で考えて、変えられるところは
自分で変えるってことだと思うんです。