「ノーベル賞を取るための五か条」

ノーベル化学賞を受賞した、旭化成名誉フェローの吉野彰さんがニュースで話題になっています。
ノーベル賞に関連する話を致知出版社の人間力メルマガから紹介します。
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1973年に日本人として4人目となるノーベル賞を受賞した江崎玲於奈さんと、
バイオテクノロジーの世界的権威である村上和雄さんのご対談記事をご紹介します。
江﨑さんが語った「ノーベル賞を取るための五か条」とは?
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ノーベル賞を取るための5か条

【村上】
若い人に創造性を発揮してもらうことで、我が国に創造の風土を根づかせたいというのが、
江崎先生のいまの願いだということがよく伝わってきました。
【江崎】
そのことにつけ加えさせていただけたら、創造性を育むにはオプションを活かすこととともに、
何事もよく「考える」ということも大変重要です。

私が勤めていたIBMには、「Think」という標語があちこちに掲げられていました。
考えて考えて考え抜け、という社員の心得を説いた言葉です。

アップル社のスティーブ・ジョブスも、「Think different」、
つまりただ考えるだけではなく、違ったことを考えろ、と言っています。

これを受けて私が若い人に言いたいのは「Think unthinkable」、
考えられないことを考えなさいということですね。

先ほど申し上げたように、エネルギーが粒子状態になっているという、想像を絶するアンシンカブルなことをプランクが考え出し、
それが古典力学を超える量子力学の発展に繋がりました。

このように将来というものは必ずしも過去の延長線上にはない。
現状維持、何もしないこと、伝統を守るということがリスクになることだってある。
そのことをしっかり理解してほしいと思っています。
【村上】
そういえば、江崎先生には、ノーベル賞を取るための五か条という有名な言葉がありますね。
お話を聞きながら、いまそのことを思い出していました。

【江崎】
ああ、あれは私が1994年に国際会議で話した内容を、ノーベル物理学賞の選考委員が聞いて、
スウェーデンの物理学専門雑誌に「江崎の黄金律」として発表してくれたものです。

1、いままでの行きがかりにとらわれない
2、教えはいくら受けてもいいが、大先生にのめりこまない
3、無用なガラクタ情報に惑わされない
4、創造力を発揮して自分の主張を貫くには闘うことを避けてはならない
5、子供のような飽くなき好奇心と初々しい感性を失ってはいけない

この五つは、私自身のモットーであるとともに、いま私が日本に創造の風土を醸成するための心得としていることでもありますね。
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いまからでも遅くはありません。
好きなことを一つ見つけて思いっきり打ち込んでみてください。
いつかは目の前の風景が変わってくるから。