問題のない子はいない（子育てシリーズ⑥）

以前紹介した『悩んでいた母親が一瞬で救われた子育ての話』（平光雄著）から紹介します。
　　——————————————–
　「ウチの子には、今まで困らされたことがないんですよ。全然手がかからなくて、楽させてもらっています。いい子ですよー。ははは。」などと言われる親もいます。
　返答には、なかなか困ります。「いや、そんなことはないですよ。」とも言いにくいですし。
　
　子育てというのは、子どもが親を乗り越えていくという「構造」上、ずっと楽で快適であるはずがないのです。
　子どもがきちんと成長していれば、親に忍耐や変革を要求するものだからです。
　ゆえに、先のようにあっけらかんという親には、以前誰だったか、ある作家が言っていた「らくだらく」という呪文？を唱えたくなってくるのです。
　
　「楽だ」を繰り返す。「らくだらくだらくだ‥‥」すると、いつの間にか「楽・堕落」に聞こえてくるというものです。なんとも意味深長ですね。

　社会教育家の田中真澄氏が、ご講演の中でよく紹介される、富山の薬売りに伝わる教えは、
　「楽すれば楽が邪魔して楽ならず、楽せぬ楽がはるか楽々」です。

　子育てにぴったりの言葉でもあります。
　「子育てに悩みがないって方もいらっしゃるけれど、ウチは悩みばっかりで‥‥」という親にはこう伝えてきました。

　子育てには楽はないですよ。求めるのも間違いだと思います。
　楽なら、きっと子供には何か「問題」があると思っていいでしょう。
　悩みがないという親子がいてもうらやましがることではないですよ。
　どんなに大変な毎日でも、子が成長しているなら喜ぶということが、親として最上のことじゃないでしょうか。